ブログ

かぶれの原因は何ですか?  パッチテストの解説

かぶれの原因を知りたい

外来で、患者さんによく質問されます。「この湿疹の原因って何でしょうか?」

その質問に診察だけで答えることは、かなり難しいことなので、①同様の部位に同様の症状を繰り返している、②治療していても改善しないといった患者さんにはパッチテストを勧めています。

まずは患者さんの経過を紹介しましょう。

50代の女性で、両眼周りの繰り返す、赤み、かゆみに悩み当院を受診しました。

ご本人は、眼周りの化粧品や基礎化粧品の中に原因があるのではと考えていました。

他院で抗アレルギー薬の内服薬やステロイド外用薬を処方してもらい、治療していましたが、改善せず繰り返していたようです。

そこで、当院でも診察しましたが、問診や診察からは原因物質が特定できないためパッチテストを行うことにしました。

水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテスト、初日 水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテスト48時間後の画像 水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテスト72時間後の画像 水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテストの1週間後の画像
パッチテスト施行後 パッチテスト 48時間後 パッチテスト 72時間後 パッチテスト 1週間後

うれしいことに、48時間後、72時間後でしっかり反応が出ています。1番、4番、8番は赤みがしっかり出ていますので陽性と考えました。

1番:シャンプー

4番:シャンプー

8番:ボディーソープ

にしっかり反応していました。原因となるものを避けるように指示したところ、数日で皮疹は改善しました。

このように眼周りの症状でも、シャンプーが原因だったりします。

パッチテストとは

パッチテストとは診察時に問診、視診ではなかなか原因物質が特定できないので、日常生活の中で、使用しているものを持ち込んでもらい、背中の皮膚にそれを貼付して赤み、かゆみが誘発・再現できるかを確認する検査です。そのほかにも、まったく原因がわからないという方にはパッチテストパネル(S)という日本人を対象にかぶれやすい物質をセットにしたものがありますのでそちらで検査することもあります。

パッチテストの方法

持ち込みの場合

①頭、顔に使用しているものをすべて持ってきてください。

例)メイク道具、基礎化粧品、シャンプー、リンス、整髪料など

アイシャドウは色ごとに通し番号を付けます

シャンプー・リンスなどはしっかりとキャップができる容器に詰め替えていただきます。

美容室でヘアカラーをしている方は、少量もらってきていただくことがあります。

②持参されるすべてのものに通し番号を付け、一覧表にメーカー、商品名を記入してもらいます。

③検査用の台紙に持参したものを希釈して少量ずつのせ、背中の湿疹の起きていない皮膚に、それらを貼り付けます。

④48時間は貼り付けたままにします。2日後(48時間後)に再診し、診察を行います。

⑤同様に、72時間後(96時間でも可)、1週間後に診察を行い、赤み、痒みなどの症状が誘発されているかを確認します。

※試薬貼付後48時間は、検査部位を水でぬらさないようにしていただきます。濡らすと検査する物質が流れてしまい判定できなくなります。試薬を除去した後は水にぬらしても大丈夫です。

パッチテストパネルを使用する場合

水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテストパネルの画像 水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテストパネルの内容物の画像

①背中の湿疹の起きていない皮膚に、パッチテストパネル(S)を貼り付けます。

②48時間は貼り付けたままにします。2日後(48時間後)に再診し、診察を行います。

③同様に、72時間後(96時間でも可)、1週間後に診察を行い、赤み、痒みなどの症状誘発されているかを確認します。

なお、パッチテストパネルで検査できる内容は以下の通りとなっています。

水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテストパネルの内容1 水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科のパッチテストパネルの内容2

佐藤製薬 パッチテストをお受けになった患者さんへより抜粋https://medinfo-sato.com/patch-test-panel/products.html

金属のパッチテストを行う場合

①背中の湿疹の起きていない皮膚に、金属パッチテストの試薬を貼り付けます。

②48時間は貼り付けたままにします。2日後(48時間後)に再診し、診察を行います。

③同様に、72時間後(96時間でも可)、1週間後に診察を行い、赤み、痒みなどの症状誘発されているかを確認します。

当院で行うことの可能な金属パッチテストの薬品は鳥居製薬より購入しています。よって以下の通りになっています。

水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科の金属パッチテスト

パッチテストのスケジュール

1日目(試薬を貼付する) 2日目 3日目(結果判定1回目) 4,5日目(結果判定2回目) 7日目(結果判定3回目)

かぶれの原因物質であろう試薬(アレルゲン)を貼付します。

来院はせず、貼付したままで過ごす。 受診して、アレルゲンを剥がします。皮膚の状態を診察します。 皮膚の状態を診察します。 皮膚の状態を診察します。

3日目の受診日までシャワー・入浴などはできません。そのため、この検査はなるべく夏の時期は避けた方がいいでしょう。

パッチテストの金額

健康保険が適応になる検査です。3割負担の方の金額は以下のようになっています。

パッチテスト 21カ所以下の場合 1ヵ所につき48円

パッチテスト 22カ所以上の場合 1ヵ所につき36円

パッチテストパネル(S)を使用した場合は薬剤費として4,720円

その他、別途、初診料・再診料・処方があれば処方箋料などがかかります。

※2024年6月の診療報酬改定で変更がありました。

 

文章作成 水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科 院長 小林光https://www.suidobashi-hifuka.com/doctor/

TOPへ