アトピー性皮膚炎の新しい治療薬デュピクセントについて
目次
デュピクセント始めました
アトピー性皮膚炎の新しい治療薬であるデュピクセント®を水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科でも開始しました。
重症アトピー性皮膚炎に対する切り札として使われてきましたが、適応年齢が生後半年からに拡大されてさらに使いやすくなりました。
アトピー性皮膚炎の治療で悩まれている方は、当院で相談してみて下さい。
デュピクセントとは?
デュピクセント®は、たんぱく質の一部でできています。飲み薬にすると胃腸で 消化、分解されてしまい、お薬としての効果を発揮できないため、注射で投与します。デュピクセント®は、アトピー性皮膚炎で「かゆみ」「炎症」「皮膚バリアの破壊」で中心的な役割を果たしている「IL-4」と「IL-13」の働きをおさえます。 これまでの治療ではうまくコントロールできなかった方でも、デュピクセント®で 治療することで、炎症がおさえられ、皮膚の炎症、かゆみ、皮膚バリアのすべてに改善効果を期待することができます。
デュピクセントの効果は?
ステロイド外用剤で効果不十分な中等症以上のアトピー性皮膚炎の症状を改善しました。
・ 投与開始後 16 週時に 68.9%が EASI-75*(治療開始前に比べて75%以上改善)を達成した。
・ そう痒 NRSスコア変化率は投与開始後 2 週時には有意な低下を示し、 16 週時には-56.6%であった。
ステロイド外用薬で効果不十分な中等症以上の小児アトピー性皮膚炎患者の症状を改善しました。
・投与開始後 16 週時に 43.3%が EASI-75(治療開始前に比べて75%以上改善) を達成した。
・かゆみ NRS(数値評価スケール)スコア変化率は投与開始後 16 週時に−39.45%であった。
安全性
成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同試験 3 試験で403 例(日本人 62 例を含む)において、主な副作用は、 注射部位反応 29 例、頭痛 12 例、アレルギー性結膜炎 7 例であった。小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において、成人アトピー性皮膚炎患者における本剤の安全性プロファイルと比較して、本剤投与時の安全性プロファイルに明らかに異なる傾向は示されていない。
デュピクセントの投与前と投与後の注意点は?
過敏症反応
デュピクセントの投与により、過敏症反応が現れることがあります。
以下の症状がみられたら、投与を中止し速やかに主治医に相談してください。
●主な症状
ふらつき感、息苦しさ、心拍数の上昇、めまい、嘔気、嘔吐、皮膚のかゆみや赤み、関節痛、発熱、血管性浮腫 など
※これらの症状がみられた場合には、次の受診日を待たずに、速やかに受診してください。
※これらの副作用は注射直後だけに起こるとは限りません。
その他の副作用
以下の副作用が現れることがあります。症状が現れた場合には、速やかに主治医または看護師、薬剤師にお伝えください。
●注射部位反応
デュピクセントを注射した部位に、発疹や腫れ、かゆみなどの症状がみられる場合があります。
●ヘルペス感染
口周りや唇に発疹などがみられる場合があります。
●結膜炎
目やまぶたの炎症症状(赤み、腫れ、かゆみ、乾燥など)がみられる場合があります。
また、デュピクセントは免疫のはたらきをおさえるため、寄生虫に対する抵抗力が弱まり、寄生虫感染をしやすくなる可能性もあります。
寄生虫感染が治癒するまで本剤の投与を一時中止することがあります。
デュピクセント投与中に、血中の好酸球数が増えることがあります。以下の症状がみられたら、主治医に相談してください。
主な症状:発疹、むくみ、咳、発熱、だるさ、息切れ、呼吸困難、呼吸時に「ゼーゼー」音がする、血痰(血液の混じった痰)、動悸、息苦しさ、手足のしびれ、麻痺(動きが悪くなる)など
デュピクセントの投与対象、投与方法について
〇デュピクセント®は生後6か月から既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の患者さんに投与が可能です。
〇年齢・体重により用法用量が異なります。
〇医師により適用が妥当と判断された患者さんについては、自己注射も可能です。
デュピクセントの医療費について
デュピクセントの薬価は1本61,714円です。薬剤の値段は3割負担(ペン)で、初回投与(2本)が37,028円、2回目以降(2週に1本)18,514円となります。
通常毎月370,000円ほどの薬価負担がありますが患者様の経済的な負担を軽減するため、さまざまな医療費の助成制度があります。
患者さまの収入や加入している保険にもよりますが、月7,000円程度の負担で治療継続が可能になるケースがあります。
お電話でのご相談も承っております。ご希望の方はデュピクセント相談室0120-50-4970(ゴーヨクナレ)にて平日9:00~17:00に専任スタッフが対応いたします。
お気軽にお問い合わせください。
水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科
院長 小林光