アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬の新しい外用薬ブイタマークリーム1%(タピナロフ)について
まずは患者さんの経過から
使用前 生え際 | 5週間後 生え際 |
使用前 右膝 | 5週間後 右膝 |
使用前 左膝 | 5週間後 左膝 |
尋常性乾癬の50代女性患者の経過です。乾癬はこの秋から冬にかけて悪化するので、治療に困っていました。
ちょうど、10月29日に発売開始になった外用薬のブイタマーを11月1日から処方しました。
外用開始して5週間後には紅斑や厚い鱗屑が良くなっていますね。
今までは痒みに悩んでいた患者さんですが、外用してからは痒みも全くなくなったということ喜んでもらってます。
※こちらの写真は、治療を通じて得られた一例を掲載したものです。治療の効果や経過には個人差があり、すべての患者様が同様の結果を得られるわけではありません。治療についての詳細やご相談は、ぜひ当院までお問い合わせください。
ブイタマーとは
芳香族炭化水素受容体(AhR)といわれる、化学物質に対する防御、微生物防御、エネルギー代謝、細胞の発生分化、生殖といった幅広い生理機能に関与している物質であり、免疫系においては免疫応答を調節する重要な働きをしていると考えられています。
さらに皮膚においては①免疫反応、②皮膚バリア機能、③抗酸化作用に関連する遺伝子の発現の調節することで、皮膚の健康状態を一定に保つ働きを担っています。
幅広い薬理作用があり、①免疫細胞では炎症の抑制や皮膚バリア機能を高める働きがあります。②角化細胞(皮膚の細胞)では抗酸化作用をもたらす経路を活性化して皮膚の酸化ストレスを改善します。
ブイタマーはどんな患者さんに向いているのか?
アトピー性皮膚炎(12歳以上)、尋常性乾癬(成人)と診断されている患者さんに使用可能です。
今までの治療をしていても、改善がない方、効果を感じない方などには使ってみる価値があるのではないでしょうか。
クリニックで患者さんを診察していると感じますが、新しい内服薬や注射薬には少し抵抗があるけど、新しい外用薬なら使ってみたいと考える患者さんはかなり多いと思います。
当院では、そのような患者さんの次の一手になればと考えています。
日本の皮膚科医の中でも、まだ今のところどのような患者さんに使っていくなどの、統一された見解は無いように思います。いずれ、国内で使用していく患者さんが増えてこれば、そのようなことも分かってくるのではないでしょうか。
ブイタマーの注意点・副作用
にきび、毛穴の細菌感染、塗った部位の刺激感、かぶれなどがあげられています。
やや珍しいところでは頭痛が報告されています。ブイタマーを外用してなぜ頭痛が発生するかに関してはまだ詳細は分かっていないようです。
ブイタマーの分子量
254.32です。
ブイタマーの価格
3割負担の方で1本(15g)あたり1,353.6円です。
水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科 小林光