ニキビ治療薬のイソトレチノインについて 患者さんの経過、効果、服用方法、注意点・副作用、値段など
- 内服イソトレチノインを使用して重症ニキビを治療した患者さんの経過
内服前 | 1ヵ月後 | 3ヵ月後 |
「お兄ちゃんの顔はいつも赤い。」と言われていた患者さんです。治療経過に大変満足しています。
20代男性、他の皮膚科で約3年間、抗生剤の内服、および過酸化ベンゾイル・アダパレン配合剤による治療を行っていましたが改善しませんでした。
当院でイソトレチノイン20mg/日の内服を行ったところ、3ヵ月で白ニキビ、赤ニキビを含めて大変よくなりました。
ただし、この患者さんは4ヵ月目に軽度の肝障害が出現したため、イソトレチノインの内服はいったん終了となっています。
今後も、ニキビが出現するようであれば、慎重に血液検査で肝臓の値に注意しながら、イソトロインの量を半分の10mg/日に減量するか、20mg/日の一日おきの内服を検討しています。
特別にいい経過というわけではなく、一般的な経過です。
※この方はアトピー性皮膚炎もある方ですのでその治療も並行して行っています。https://www.suidobashi-hifuka.com/atopic/
※ニキビの一般的な治療に関してはhttps://www.suidobashi-hifuka.com/acne/を参考にして下さい
- イソトレチノインとは
日本では保険適応になっていませんが、アメリカ、ヨーロッパではすでに40年以上使用されている実績のある内服薬です。重症・難治性のニキビに対して使用されることが多く、米国皮膚科学会、欧州の痤瘡治療ガイドラインでも第一選択、強く推奨されている治療法です。アメリカでは、1982年にFDAにニキビ治療薬として承認されています。
日皮会誌:134(2), 289-295, 2024 より引用
- イソトレチノインの効果
強力な皮脂分泌抑制、毛穴のつまりの除去(毛包漏斗部の角化異常の正常化)といった効果があります。効果は内服1~3ヵ月後から出現してきます。内服終了後も効果が続き、累積投与量が120mg/kg(体重50kgの場合10ヵ月)を超えると一生涯のニキビが減少すると報告されています。
- イソトレチノインの服用方法
医師の診察の際に、皮疹の重症度、標準的な治療で症状が改善ないかどうかの判断をします。肝臓で代謝される物質であるため、内服に伴い薬剤が原因で肝臓を悪くすることがあります。①内服前に肝臓の状態が問題ないことを確認する、②内服後も肝臓の状態が問題ないことを確認する必要があると考えられています。
当院では内服前に血液検査(ただし健康診断を定期的に受けており肝障害を指摘されてなければしなくてもOK)を行い、内服後の1ヵ月目、2ヵ月目で血液検査を行います。その後は、体調などの問診を行って以上なければ2か月ごとの血液検査を行うことになります。
- イソトレチノインの注意点・副作用
妊娠中、妊娠の疑いのある方、授乳中の方は内服できません。
欧米のガイドラインでは12歳から内服できるといわれています。
精神疾患、心疾患、肝疾患のある方は内服できません。
その他、相互作用がある薬剤が報告されているため、他の疾患で薬剤を内服中の方は診察時にお伝えください。
副作用の発生頻度は高い薬剤になります。
代表的な副作用として肝障害、皮膚のかさつき・痒み・赤みが報告されています。
- イソトレチノインの値段
当院では20mg錠30日分で税込月16,500円で販売しています。
- イソトロインに関する注意喚起
以下は厚生労働省のHPからの抜粋になりますが、
米国食品医薬品庁(FDA)では、インターネットや個人輸入により入手すべきでない医薬品について、米国内の消費者向けに注意喚起を行っています。
医師、薬剤師等の専門家の適切な関与の下で使用されなければ、健康被害を生じるおそれが特に大きい医薬品について、FDAの注意事項を一般の方が容易に正しく理解することができるよう、重要な注意事項の邦文訳を掲載いたしました。https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.htmlk
このリンクも目を通しておくといいと思います。
クリアな肌、クリアな気持ち。新たな一歩、新たな挑戦。新年度、ニキビを治して新しい自分を発見しましょう。