パンチメス(くりぬき法)によるホクロ除去術の解説
本日は首の4mm大のホクロの取り方を紹介します。
40代女性の首のホクロです。数年前から、徐々に盛り上がってきました。 |
円形の筒状のパンチメスを使用して切除します | 下も切り離します | きれいに切除できました |
首の場合は1-2針縫います | こんな感じで縫合します | 1週間後に抜糸します |
術後2週間です。まだ赤み、硬さ残っています。術後1-2か月は赤み、硬さが目立ちます。 | 半年後です。かなり良くなってます。よね? |
ホクロの取り方については、手術派、レーザー派の様々な意見がありますが、私は今のところ手術派です。もちろんサイズや部位により炭酸ガスレーザーによる治療も行っています。
ホームページでも当院のホクロの治療を紹介していますので是非ご覧になってください。https://www.suidobashi-hifuka.com/mole/
私が手術派の理由としては、①病理検査(※)に提出できること、②再発の可能性が低いこと、③傷跡もレーザーと比較しても目立たないことを挙げています。
※病理検査とは患者様の部分から採取された組織や細胞から顕微鏡標本を作り、それを病理医が観察して、どのような病気であるかを診断する検査です。
①については、皮膚科臨床経験のある医師なら全員感じていると思いますが、自分の肉眼的な臨床診断が必ずしも正しいとは限らないからです。
医師が「ホクロだと思って手術をしたが、癌だった。」ということは、しばしばある事です。(怖い話をしてしまい申し訳ありません)
②については
ホクロの病理組織画像:縦断面、紫色の部分がホクロの細胞ですが、中央部分が毛穴に沿って深く落ち込んでいます(黒矢印)。 |
この写真を見てもらえればわかりやすいのですが、ホクロは根があります。そのため、上の方をチョンと切る+レーザーでチャチャっと焼灼する程度では再発する可能性が高いです。
もちろん、レーザー派の先生も理解しているので、レーザーで焼灼する際は中央部をすり鉢状に焼灼するなど対策を考えて治療していると思います。
③についてですが、顔・首の手術後の患者さんに対して術後1-2か月は傷跡の赤み、硬さは術直後よりも目立つ可能性がありますと説明します。
半年ぐらいたつとそれなりに馴染んできて、数年経つとほとんど気にならなくなるのが一般的だと考えています。
実は、約15年前、私が皮膚科医になって一番最初に執刀医として担当した足の裏のホクロの手術が、術前診断と異なり、悪性黒色腫(メラノーマ)であったという苦い経験があったため、ついつい熱がはいってしまいこのような話をさせていただきました。病理部の医師から直接、PHSに連絡が来て、術前診断と病理診断が異なることが告げられ、愕然としました。患者さんは20代の女性の方で、手術の病理検査の結果を伝えるときに非常に緊張したことを覚えています。
お付き合いいただきありがとうございました。