60代男性、手の甲のシミ治療 -Qスイッチルビーレーザーの経過-
症例1
60代男性の手の甲のシミの治療を行いました。ゴルフする方なので左手の甲は手袋を着用するので、シミが少ないです。
治療前 |
治療3ヵ月後 |
かなりきれいになりました。やはり、手袋を着用していた左手は経過がいいですね。
手の甲のシミ?
手の甲のシミは老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)といって、年齢や過去の紫外線照射が原因となって出てきます。ほとんどの中年以降の男女に生じ、日光が当たる顔面、手背、前腕の背側によくできます。背中も日焼けをした方は背中にもできます。 大きさは1cm前後で円形のことが多いですが、年齢が進むと大型になり、盛り上がってきてしまうこともあります。 盛り上がると脂漏性角化症といい、シミ治療に用いるQスイッチルビーレーザーでは治療効果が弱くなってしまいますので、シミ治療の前に炭酸ガスレーザーを用いて盛り上がりを治療することが必要になります。
Qスイッチルビーレーザーとは
黒い色に特異的に反応する波長のレーザーを照射します。周囲の組織にはほとんど吸収されません。その吸収率の差を利用してメラニンを主体とする病変の治療を行います。
Qスイッチルビーレーザーは、様々なシミやアザを治療する強力なレーザーです。レーザー光は、ある特定の色素に反応し吸収される性質があります。ルビーレーザーは、694nmの波長を出し、皮膚内部のメラニン色素を効果的に破壊することに優れています。
正常組織であるヘモグロビンやコラーゲンにはほとんど吸収されません。
日焼けしている方はシミの周囲の正常皮膚にもメラニン色素が分布しているため、やけどを生じることがあります。
肌の状態の診察を行い、①照射する時期を考慮する、②照射前に内服治療・外用治療を行う、③レーザーの出力を調節することでリスクを減らし効果の高い治療を目指します。
治療経過について
治療直後 病変部にレーザーを照射した直後の写真です。白化現象:IWP(immediate whitening phenomenon)といわれる状態になっています。 Qスイッチルビーレーザーの場合、IWPが生じないと治療効果が出ません。 しかし、手背や前腕はレーザーの出力が強すぎると瘢痕になってしまう事があるのでIWPが生じる程度にやや弱めの照射を心がけています。 |
治療2週間後 この時期まではしっかり紫外線対策をしましょう。照射後、約2週間はこのようなかさぶたが照射部位に付着しています。無理にはがさないようにしましょう。 |
治療1ヵ月(4週間)後 かさぶたがはがれてきれいになってきました。 |
レーザー施術後の「炎症後色素沈着」について
Qスイッチルビーレーザー照射後に「炎症後色素沈着」という現象が起きることがあります。頻度的には約40%に生じ、4~6か月程度で消退するといわれています。
発生する原因は、皮膚のコラーゲンの違い、ベースとなるもともとの皮膚の色調、肝斑の混在などといわれています。
顔と比較して、手背や体幹などのシミ治療の場合は炎症後色素沈着が起きる可能性が高く、消退するまでの期間も1-2年と長いです。
費用と副作用・注意点
費用 | |
~10mm | 11,000円 |
11~20mm | 15,400円 |
21~30mm | 20,900円 |
31~40mm | 25,300円 |
41~50mm | 30,800円 |
51mm以上 | 35,500円 |
全顔まとめ取り | 49,500円 |
副作用・注意点
一時的な赤みひりつき、炎症後色素沈着、白抜け(色素脱失)などが生じることがあります。
水道橋駅前こばやし皮フ科形成外科 小林光