酒さとは?
酒さとは、鼻や頬を中心に、赤み、ほてり、ヒリヒリなどの刺激感、細かい血管が浮き出る時にニキビのようなブツブツを伴うことのある病気です。中高年で発症することが多く、女性に多い傾向があります。色白、脂性肌、敏感肌の要素を併せ持った方に発症することが多いです。
血管が開くような刺激があると赤ら顔は悪化します。冬には暖房で寒暖差が大きくなりますので、赤ら顔が悪化します。ほかにも入浴後、運動後、食後、辛いものを食べる、飲酒後など血行がよくなる行動をしたあとに赤みが増すので、これらでお悩みの場合は酒さの可能性があります。
ステロイド酒さ(酒さ様皮膚炎)について
ステロイド外用薬を不適切に長期使用することで、酒さと似たような症状がでることがあります。これをステロイド酒さ(酒さ様皮膚炎)と呼びます。治療はステロイド外用薬の中止と酒さに準じた治療をおこないます。
酒さの原因
酒さの原因は、未だはっきりと判明していません。病変部位では免疫に関与する物質が増えているとされています。
紫外線、ストレス、睡眠不足、飲酒、刺激物摂取、毛包虫(ニキビダニ)感染などの刺激に対して、炎症を起こし赤みが出てくると考えられています。
酒さの治療について
酒さは治療法も確立されていません。そのため、患者様の症状やライフスタイルに合った治療を選択しますが、皮膚の反応をみながら試行錯誤をして治療をすすめていきます。 一般的な湿疹・皮膚炎で用いられるステロイド外用薬は一時的に赤みをおさえる効果があるものの、長期的に使用すると酒さを悪化させてしまいます。
酒さは薬の効き方に個人差が大きいため、下記に挙げた治療を患者さまに合わせて選択します。
内服薬
ミノマイシンやビブラマイシンといったテトラサイクリン系抗生物質の内服薬は殺菌作用とともに抗炎症作用を持ち、症状が強い酒さの方にも有効です。抗生物質の中では副作用が少ないタイプのため、長期間内服を続けることも可能です。なんらかの理由でテトラサイクリン系抗生物質が内服できない方にはマクロライド系抗生物質を使用する場合があります。
外用薬
プロトピック軟膏、コレクチム軟膏:ステロイドと同じように炎症をおさえる作用がある外用薬で通常アトピー性皮膚炎に対して使われる薬剤ですが、毛細血管が拡張する副作用がないため、酒さの方でも使用することができます。プロトピック軟膏は欠点として、外用し始めの数日間、チクチクとした刺激感を生じることがあります。
- ロゼックスゲル
メトロニダゾールという抗菌薬を主成分とした外用薬です。酒さに有効で副作用も少ないことが知られていましたが、2022年5月に保険適応となりました。 - アゼライン酸クリーム
アゼライン酸は主にニキビ治療薬として用いられていますが、酒さに対しても効果があります。日本では保険適応外です。 - イオウ・カンフルローション
イオウの成分を含有した外用薬です。ニキビダニに対する殺菌作用や皮膚を乾燥させる作用があります。皮脂が多いタイプの酒さの方に有効です。
血管レーザー治療
酒さによる毛細血管の開きが強い場合に有効です。皮膚の浅い場所の毛細血管拡張や赤ら顔には効果が高いですが、5回以上の照射が必要となる場合が多いです。